包丁やはさみなど、刃が欠ける原因はいろいろありますが、ほとんどの場合、間違った使用によるものが多いようです。
たとえば菜切り包丁で魚をさばいたり、牛刀で冷凍食品を切ったりした時に起こりますが、これは用途に合った包丁を正しく使うことにより、避けることができます。

しかし製造過程の熱処理不良が原因のことも稀にあります。
完成した製品をプロの目で見ても、なかなか見分けることができません。
しかしほとんどの場合、研いでみると原因が分かることがあります。
一般の方が刃物の不具合を見つけることは難しいと思いますが、下記に破損例をいくつかあげてみます。

使用方法を誤った例

サバキ西型

包丁の種類:サバキ西型
鋼材:日本鋼
構造:全鋼物

冷凍食品などを切ったり、地面に落としたり、強い衝撃が加わると、欠けるというより割れてしまうことがあります。

熱処理不良

花バサミ

刃物の種類:花バサミ
鋼材:安来鋼白紙2号
構造:鍛接

牛刀

刃物の種類:牛刀
鋼材:日本鋼
構造:全鋼物

一言で熱処理不良といってもいろいろな要素があります。
焼き戻し不良の場合などは製造された後でも多少の修復はできますが、ほとんどの場合、完全な研ぎ、修理ができません。
修理ができたとしても、同じ部分でまた、刃がかけやすくなっています。

鍛接不良

皮裁ち包丁

刃物の種類:皮裁ち包丁
鋼材:安来鋼青紙2号
構造:鍛接

鋼の鍛接は鉄ろうと呼ばれる鉄粉とホウ砂を混ぜたものを約1000度で熱し、行われます。
鍛接が悪いと、鉄と鋼の継ぎ目の部分より、はがれるように欠けます。