先日、お客様から「ステンレスの包丁もサビるの?」という質問がありました。

結論から言うとステンレスの包丁も錆(さ)びます!!

長年、刃物の研ぎ・修理の仕事に携わっていると色々な刃物のサビの事例に出会います。
同じ包丁であっても、使用方法やお手入れ、保管の仕方により、その状態がずいぶんと違ってきます。

私は学者でも、その道の研究者でも無いので具体的な数値データを出して説明はできませんが、ハガネ製の包丁はステンレス製の包丁と比べサビの侵食が遅いように思います。

一般的に「ハガネの包丁は錆びるから…」と敬遠されがちです。
確かにハガネ製の包丁は使った後こまめに拭かないと、すぐに赤茶色いサビが刃の表面に付きます。
また、そのサビを放っておくと、見た目にはひどい状態になりますが、
研ぎ直せば綺麗にサビがとれることもあります。
 (サビついて何年も放置したような、あまりにもひどいサビは、サビの巣が入り込んでいる事もありますが・・・。)

ステンレス系の包丁は使用後、こまめに洗ったり拭かなくても茶色いサビは付きませんが、
洗い桶に長時間つけたり、食器洗い乾燥機に入れたりしていると、
いつの間にかサビが侵食し、気がついた時には研ぎをしてもその侵食された部分が黒い斑点となってとれない事がよくあります。
そして、そのサビの巣からまた新たなサビが侵食しやすくなります。

実は「ハガネ製の包丁のサビ」より「ステンレス製の包丁のサビ」の方が性質が悪いのです。

写真:黒い斑点がステンレス製の包丁の「サビの巣」です。
   刃の内部まで侵食して円砥(大型回転水砥石)で荒研ぎをしても、取れませんでした。

当店では包丁を販売する時に「ステンレスの包丁でもまったくさびないわけではありませんよ。」とご説明しています。