FAQ(よくあるご質問)のコーナーでも述べましたが、鋏(はさみ)の研ぎは非常に難しく、一般家庭や自称セミプロの方が研ぐと間違った研ぎをしてしまい良質の鋏をダメにしてしまうことが多々あります。
また鋏は修理は研ぐという作業だけでなく、調整という大切な作業も残されています。

鋏の研ぎは信頼のできる職人におまかせください。当工房では鋏のことを熟知した職人が研ぎにあたります。ぜひ一度当工房の研ぎ、修理をおためしください。

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工程1: 鋏(はさみ)の状態を見る

はさみの研ぎ(修理前)
はさみの研ぎ(修理前)

まず最初に鋏と一緒に送っていただいた生地や素材を実際に切り、鋏の現状を確認します。
鋏が切れなくなった原因としては
・使用頻度が多く使い減りしている。
・鋏にヒズミが出ていて刃が正しくかみあっていない。(鋏を落としたり、用途に合わない硬いものを切ったり、乱雑な扱いをすると起こります)
・ネジ部分(鋏の軸になる支点部分)にガタツキやゆるみがある。または逆に軸が締まりすぎて刃の開閉がかたい。
・間違った研ぎをしている。
などが考えられます。
この段階で鋏の大まかな研ぎ・修理のポイントがわかります。
※現物を見ないと正確な状態がわかりませんので、インターネット上のお問い合わせに対する見積は、概算とさせていただだきます。

工程2: ネジを取り外す

はさみの研ぎ(修理前 ネジを外す)

ネジが取り外せるタイプの場合は、必ずネジを取り外します。
ネジにガタツキがある場合、そうする事でネジの不具合か鋏の軸穴の不具合か、原因がわかります。
当工房の場合はネジが取り外せるタイプの方がひずみ直し、磨き仕上げ等、良い研ぎ・修理が可能です。

工程3: 荒研ぎ

大型回転水砥石で荒研ぎ
ワイヤーブラシでのサビ取り

鋏の研ぎに限らず当工房の刃物研ぎは基本的に刃を必要以上に大きく削らないようにしています。
刃が大きく欠けたり刃こぼれがない限り、包丁研ぎの時に使用する大型回転水砥石は使いません。

握りばさみやネジの取れないはさみの場合はワイヤーブラシでサビを取ります。

工程4: 裏スキ(裏研ぎ)

裏スキ(裏研ぎ)

裏スキは鋏を研ぐ時にもっとも大切な作業で、職人としての技術や経験が必要とする仕事です。
鋏の裏は断面図で見ると真ん中が少し凹んだ状態になっています。
鋏の種類によりその内径が違いますので、当工房では裏スキ用の砥石を数種類使い分けて作業をしています。

工程5: 羽布研ぎ

羽布研ぎ

オプションサービスの磨き仕上げのためなどで「工程3」の荒研ぎをした場合は、羽布を使いその研ぎ目を細かくしていきます。

工程6: 中研ぎ ~ 磨き ~

中研ぎ ~ 磨き ~

「工程5」の羽布研ぎで出来た研ぎ目を糸羽布やフェルト羽布に、研磨剤(トリポリ、青棒)を塗り、磨きます。刃の表面の目を細かくすることで錆びにくく艶やかな仕上がりになります。

工程7: 組み立て ⇒ 刃付け仕上げ

 はさみの組み立てから刃付け仕上げ

ネジが悪い場合はネジを交換し軸の状態を直します。
ガタツキゆるみ等が無いかどうか確認しながら組み立てます。
通常のラシャ切鋏のネジ穴の状態は「工程2」の写真のように○(丸)穴と□(四角)穴ですが、残念ながら間違って取り付けられているケースがよくあります。

お客様それぞれのお使いの用途(切る生地や素材)により、刃付けの仕方や仕上げの角度などを変えています。厚手のもの(皮革やジーンズ等)を切る場合と薄手のもの(レースや絹等)を切る場合とでは刃付けの仕上げ方が違います。

工程8: ひずみ直し・調整 ⇒ 試し切り

刃の開閉がスムーズに出来るかどうか、ヒズミをがあれば直し最終調整をします。
お客様からお預かりした生地などを試し切りします。
新品時のような切れ味が戻っているかどうか確認します。
どの工程もそうですが職人のカンと経験が物を言うところです。

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